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歯科レセコンとは?データを活用して円滑な歯科業務を実現する方法

歯科レセコンは、歯科経営において重要な役割を果たします。日ごと、月ごとの売り上げを把握したりスタッフのシフトや運用体制の見直しをしたり、患者さんの来院状況を個別に管理できます。

無断キャンセルやリコール率の伸び悩み、窓口業務の負担など、歯科経営において頭痛の種になりやすい悩みを解決できるのがレセコンです。また、カルテや診療内容の入力ミスをリアルタイムでチェックできるため、ミスを減らし修正の手間をカットします。

歯科レセコンのサービス内容は各会社によって異なる為、今回は歯科経営にまつわる悩みとレセコンでできること、レセコンを選定するポイントについて解説しています。レセコンのデータを経営に活用したい方にとって、参考になれば幸いです。

レセコンとは

レセコンとは、診療報酬請求書(レセプト)を点検、作成するシステムです。

レセプト作成は歯科医院の毎月の収益にかかわる重要な業務ですが、入力した情報が正確であるかを確認しなければなりません。そのため、時間がかかり大きな負担になっているケースも多いはずです。

レセコンを導入するとレセプトに関する業務の負担を大幅にカットできます。入力内容をチェックしてミスを防ぎ、診療報酬が改定されたときも速やかに対応できるのが理由です。

電子カルテとの違い

電子カルテは、診療内容を記載するためのものです。そのため電子カルテを扱うのは主に医師や看護師、検査技師など医療をおこなう人が中心です。レセコンは診療報酬の請求業務をおこなうためのシステムであり、会計業務を担当する人が扱います。

歯科医においては、レセコンに電子カルテ機能が実装またはオプションとして追加できるため、両システムが分かれていることは基本的にありません。

歯科医の経営にまつわる悩み

歯科医の経営にまつわる悩み

歯科医院を経営するうえで、頭痛の種になっているであろう悩みを5つピックアップしました。

  1. 新規患者を増やしたい
  2. 無断キャンセルを減らしたい
  3. リコール率を上げたい
  4. 業務効率を向上させたい
  5. 受付時間外も予約を獲得したい

いずれの問題も、歯科経営において解決すべき課題です。特に新規患者を増やしたり、無断キャンセルを減らしたりすることは売り上げに直結するため、早急な対応が求められます。

また、継続した歯科医院の利用を促すためにメールやはがきを利用しても、リコール率が伸び悩んでいるところは少なくないはずです。

ほかにも業務の効率アップや受付時間外の予約獲得など悩みはつきませんが、これらの問題は歯科レセコンで解決できます。

レセコンでできること

歯科レセコンは経営管理に必要な機能を4つ備えています。

  • 月計表
  • 経営分析
  • 予約解析
  • リコール

月計表

1日あたりの来院数や、来院数の多い曜日などを把握できるのが月計表です。月間収支や点数、金額などの人数内訳も明確にわかります。

また、医師や施設ごとに条件を指定して集計したり、スタッフのシフトや運用体制を見直す資料として活用したりということもできます。

経営分析

クリニックの現状を把握し、課題を見つけ問題解決に役立つのが経営分析機能です。初診患者の動向や医院、スタッフ別の売り上げを算出、分析して、診療報酬額の推移や患者の滞在時間などのデータを数値で明らかにします。

経営分析のための時間が取れない、または診療内容の変化や推移を把握したいと考えているクリニックは、レセコンの導入を検討すべきです。

予約解析

予約解析は、WEBからの予約時間帯とキャンセル種類別の割合を分析する機能です。これによって、キャンセルをきっかけに来院が途絶える患者さんへの対策を考えられます。

例えば、予約したあとに確認のメールを送ったり、予約日の前日に通知のメールを送ったりすることで患者さんにリマインドできます。こうした確認やフォローがあれば、無断キャンセルや通院の中断などを減らせるはずです。

また、キャンセルがあったときの状況確認や変更が一目で把握できるため、新たに電話受付をするときの案内もスムーズに進みます。

レセコンで予約を取りやすい環境を作れば、新規患者の獲得にもつながります。

リコール

月ごとのリコールやキャンセル状況をリストにする機能です。リコール患者を検索するときには、複数の条件を組み合わせて検索できます。最終来院日から経過した期間や治療の内容などで絞り込めるため、カルテを1つずつ確認する手間がかかりません。

該当する患者さんに対して再来院を促すメールの送信や、はがきの宛名印刷、タックシールの作成が可能です。

患者さん1人1人の来院状況を手作業で確認、把握することは困難ですが、顧客管理機能の備わったレセコンなら患者さんごとに一括で管理できます。

レセコンを導入するメリット

レセコンとは

レセコンを導入するメリットは主に3つあります。

  • 業務効率の向上
  • 業務の負担を軽減
  • 入力ミスの防止

業務効率の向上

レセコン導入によって業務効率が向上すると、患者さんの満足度もアップします。患者さんのデータ登録にかかる手間を省けることと、会計業務がスムーズに進むため待ち時間を短縮できるのが理由です。

窓口業務の効率が向上すれば、患者さんのストレスを減らし、クレーム件数の減少を実現できます。

業務の負担を軽減

作業量やミスを減らせるレセコンは、職場の雰囲気を良好にすることも期待できます。煩雑な窓口業務やミスが重なると、スタッフ同士の関係も険悪になりがちです。

作業時間を短縮して業務がコンパクトになれば、職場の雰囲気だけではなく労働環境の改善も見込めます。

歯科レセコンはさまざまな会社がサービスを提供しており、アットレセもその1つです。タッチパネル画面にも対応している、クラウド型の歯科用レセコンを取り扱っています。

入力ミスの防止

レセコンには入力中の段階でミスをチェックできる機能があり、速やかにミスを発見して修正できます。患者さんの情報や診療行為などの誤記は、信頼を損ね経営に打撃を与えかねません。

導入するレセコンによってチェック機能のスペックは異なりますが、入力ミスの防止は安定した歯科経営に貢献します。

レセコンを導入するデメリット

レセコンを導入するデメリットは主に2つです。

  • 停電や故障のリスク
  • 操作方法への不安

停電や故障のリスク

レセコンはシステムですから、停電や故障のリスクは避けられません。ですが、サポートとして無停電電源装置が備わっているレセコンを選べば、停電や災害時の備えができます。

パソコンが故障するリスクに関しては、不具合を予防する仕組みが実装されているほか、予備のパソコンで補助システムを利用して運用するということも可能です。また、データをバックアップできる機能が実装されているものであれば、より安心できます。

操作方法への不安

新人スタッフやイレギュラーな対応が求められるとき、システムの操作方法がわからずに慌てる可能性があります。この場合、目につくところにマニュアルをファイリングして用意しておくか、事前にシステムの操作方法について研修をおこなうなどして対応してください。

レセコン選定のポイント

レセコンはさまざまなメーカーからリリースされています。自分のスタイルに合ったレセコンを選定するためのポイントを、3つまとめました。

  • 導入費用
  • 電子カルテ機能の有無
  • サポート体制の充実度

導入費用

レセコンの導入費用は製品によってさまざまで、数十万円〜数百万円と大きな差があります。レセコンには月額料を支払う方法と、リース契約を結ぶ方法の2つが主です。

また、オプション機能や、初めから実装されている機能によっても料金は異なります。

経営している医院の規模やスタッフの人数、解決したい問題に合わせてレセコンを選ぶために、複数の会社から見積もりを取ってよく検討してください。

電子カルテ機能の有無

レセコンを選ぶときは電子カルテ機能の有無も確認してください。現時点では電子カルテを採用していないところでも、将来的には必要に迫られることも考えられます。

レセコンには電子カルテを標準搭載しているものと、オプションで追加するものとがあります。どちらを採用するか、長期的な目線で判断してください。

サポート体制の充実度

レセコンを使用するうえで、サポート体制の充実度を確認することは重要です。対応はメールや電話、出張などありますが、なるべく問い合わせの間口を広く設けているところを選びます。

また、トラブルが起こったとき、患者さんを長時間お待たせすることになればクレームにつながり、業務にも差し支えます。ですから、問い合わせ対応が素早いところを選んでください。

災害や停電時の備えとして、データバックアップや無停電電源装置などを含むサポートであれば、より安心してレセコンを運用できます。

まとめ

歯科を経営するうえでは新規患者の獲得やリコール率の向上、無断キャンセル数の低減などが求められます。これらの問題を解決できるのが歯科レセコンです。

患者さんから信頼を得て良好な関係を作るためには、予約しやすい環境やきめ細かいフォローが必要です。

歯科レセコンは、患者さんの情報や診療内容における入力ミスを防止したり、予約状況を解析したりということができます。また、リコール率を向上させ無断キャンセルを減らすために、患者さんの来院状況を個別で一括管理できる機能も備えています。

ただし、導入前には費用と電子カルテ機能の有無、サポート体制について相見積もりを採って、比較検討してください。