日本の物価上昇が加速化する原因は?金融緩和の方向性と共に解説
2022年3月現在、ロシアのウクライナ侵攻によって、原油・穀物などが歴史的な値上がりを見せています。
この記事では現状における日本の物価向上について、あらゆる見解をまとめたいと思います。
物価上昇に関して専門家の見解は?
とある証券会社のマーケットエコノミストは、4月の消費者物価の予想をこれまでの前年比1.7%から1.9%へと引き上げました。
これは、2022年度における米国市場での原油先物価格を、1バレル85ドルと仮定し、「原油価格の上昇が一時的である可能性は低く、消費者物価が前年比2%程度まで近づくことも考えられる」という見解に基づいています。
また別のエコノミストは、「原油価格の上昇に伴ったガス代・電気代の高騰は、一定期間免れない」とも指摘しています。
これまでの傾向として、例え4〜6月ごろにインフレが加速したとしても、年の後半にはその動きが鈍ることが一般的でしたが、その考えも原油の高騰で修正せざるを得ない状況と言えるでしょう。
インフレ加速に対する日銀の構えは?
一方日銀は、岸田首相が今年の春闘までに企業側に対し、3%の賃上げ実施を要請していることもあり、賃上げを伴う安定的な物価上昇が見えるまでは、金融緩和はこれまで通り実行をする構えを見せています。
ウクライナ情勢の緊迫により、当面のインフレ加速は免れないような状況ですが、日銀は「金融引き締めではなく、賃上げにつながるまで金融緩和を粘り強く続けるべき」との考えを示しています。
金融緩和は継続することに大変なジレンマを抱えるものであり、海外の中央銀行と国内の金融政策の方向性不一致が明確になれば、その金利差からより円安圧力が高まることが予想されます。
元財務官のインタビューによると、「2022年から2023年にかけて、130円程度まで円安が進む可能性も否定できない」としており、当然、円安はエネルギー資源や食料品などの輸入価格を更に上昇させる可能性があるため、インフレの加速が強まる中、金融緩和を続けることはコスト増を招くリスクが伴うと言えるでしょう。
金融緩和の見直しは、消費者物価が安定的に前年比2%を上回っていることを条件として掲げているため、実際に2%に接近した際は、日銀による「安定的に」にという言葉に対しての、具体的な意味の説明を求められることが予想されます。
また日銀は、前年比2%の消費者物価が達成され安定してきたら、民間の期待形成が徐々に変わっていくと予想しており、反落した伸び率がどの辺りで落ち着くのかを見極めることになりそうです。
とあるエコノミストの見解では、「黒田総裁の任期である2023年4月くらいまでは金融緩和は持続される可能性も否定できない」としています。