生涯所得と消費支出との関係性とは?消費支出拡大のために行うべき政策
現在の日本においては、可処分所得が増加しているにも関わらず、消費支出は伸び悩んでいるという実態があります。消費は生涯所得と深い関係性があります。
ここでは、可処分所得と消費支出相関性と、政府が実施する消費拡大のための政策について解説をおこなっていきます。
可処分所得と消費支出の相関性
通常可処分所得と消費支出の間には、高い相関性があるといわれています。可処分所得が減少すれば、消費支出は減少し、可処分所得が増加すれば消費支出も増加します。
しかし、2014年以降30代以外では可処分所得と消費支出に相関性は見られません。
消費は家計の生涯所得を映し出しており、経済厚生において正確な尺度となると考えられています。そして、将来に対して漠然と不安を抱えている場合、将来への備えのため貯蓄を行う傾向にあり、消費が抑制されていきます。
生涯所得が減少している要因
生涯所得が減少していることについては、いくつかの要因があります。
*社会保険料負担の増加
*退職給付額の減少
*純金融資産の減少
このような要因から、生涯所得は減少傾向にあります。
社会保険料の負担の増加は、今後も続いていくことが予想されています。そして、退職給付額についても、現代の日本社会においては減少傾向にあります。
純金融資産(=金融資産―金融負債)についても、住宅ローンの拡充により負債が増加することによって、金融資産は減少傾向にあります。
老後に生活する資金を蓄える必要があると考える家計も多く、現在蓄えている貯蓄と将来得られる所得が減少していることにより、その差分の消費を抑制し、貯蓄に回しているということが想像できます。
政府が行う消費支出拡大のための政策とは?
日本の社会において、老後資金2000万円問題が取り沙汰されていますが、その煽りを受け家計において貯蓄志向が高まりをみせています。
消費支出拡大のためには、民間企業が生産性を上げて賃上げを行うことが前提となりますが、それ以外に行うべき施策があります。
*就労延長のためのセーフティーネット
60歳以上の就労延長は生涯所得の増加につながり、消費拡大を期待することができます。就労延長は就業期間が長くなるため、健康リスクや不本意な転職といったリスクも大きくなるため、そのリスクをカバーするセーフティーネットの完備が必要です。
*資産運用のための金融教育
ここ数年、政府はNISAやiDeCoを推奨しており、個人の資産形成は国に頼らず各自で備えるよう求めています。各個人の金融リテラシーを向上させ、金融教育を進めていくことが今の日本社会には求められています。
まとめ
ここまで、生涯所得が減少している要因と、政府が行う消費拡大の政策について解説してきました。日本全体の消費拡大を目指すためには、生涯所得を増加させることと、お金に対する将来への不安を払拭させることが大切になります。この不安を取り除くことと政策を推進していくことで、消費拡大へとつながっていくのです。