ガソリンの価格が下がらない、「3つの要因」について解説します
ガソリン価格の高騰は、2022年に突入した現在も大きな社会問題の一つです。
今回の記事では、なぜガソリンの価格が上がり続けているのかについて説明いたします。
ガソリンの価格を決める上で重要なポイントを「原油価格」「税制」「市況」と、3つの要素に分けて以下にまとめました。
押し上げられ続けている原油価格
2022年3月現在、原油はコロナ禍からの経済回復により需要が増加しています。
しかし、サプライチェーンの混乱による供給の制約や、ウクライナ情勢の緊迫化などによって、価格を押し上げられているのが現状です。
ガソリン・軽油といった石油製品は生活必需品ですので、原油は価格が上がってもすぐに需要は減らない一方で、産油国側は、今後脱炭素化がより一層推し進められる予測を背景に、近年では徐々に増産の投資に躊躇する動きがみられるようになっています。
こういった状況も原油価格が下がらない理由の一つです。
トリガー条項によるガソリン税引き下げは困難
ガソリン価格を構成する二つ目の要因は税制、すなわち「ガソリン税」です。
現在、1l当たり53.8円のガソリン税が課されていますが、ガソリン価格の高騰を受け、「トリガー条項」が注目されています。
トリガー条項とは、ガソリンの全国平均価格が3か月連続で160円を超えた場合、ガソリン税を25.1円引き下げるという条項です。
しかし現状では、東日本大震災の復興財源確保のために、この条項の発動が「凍結」されています。
岸田首相は、凍結解除を検討する考えを示していますが、トリガー条項の発動には法改正が必要であり、議論の難航が予測されるため、かなり厳しい状況です。
加えて、世界的な脱炭素化の動きの中、日本が先陣を切ってガソリン税制を見直すというのもあまり現実的とは言えないでしょう。
補助金を支給しても下がらない小売価格
三つ目の要因は、小売市況の動向です。
政府は、ガソリン価格の高騰を抑えるために、2022年1月27日から3月末まで、元売に対して1l当たり3.4円の補助金支給を開始しました。
しかし、開始から1か月以上経った現在も、市況はさらに上昇を続け、国民からは価格が下がっていないことに対する疑問や不満の声が噴出しています。
補助金の投入により卸売価格は下がったが、小売価格はさほど下がっていないという結果を省みて、中間段階の元売に補助金を出すなど、別の方法も検証する必要がありそうです。
まとめ
需要や供給、脱炭素化への動きなどを踏まえると、当面のガソリン価格は、しばらく高値圏が続き、その後ゆるやかに下がっていくと予想されています。
政府には、ガソリンの価格について場当たり的な対処ではなく、高騰時の具体的な対応や税制についてしっかりと議論して欲しい、という思いが国民の総意と言えそうです。